星空撮影の基礎知識
はじめに
夜景とは若干異なりますが、夜空に煌く星も撮影対象としては魅力的なものです。しかし、星は都会ではあまり見ることができない上、撮影時にもカメラにスペックを要したり、専用機材が必要だったりと夜景よりもハードルの高い被写体となっています。ここではカメラスペックを要求せず、通常の長時間露光 + 比較明コンポジット合成という手法によって星空を撮影する方法を紹介します。
星空の撮影方法
星空を撮影する方法はいくつかあります。大きく分けると星を点として写す方法2種類、線として写す方法2種類、計4種類があります。以下で簡単に説明してみたいと思います。
星を点状に写す
- 赤道儀を使って星を追尾しながら撮影する
- 高感度と15~20秒前後の短時間露光
1.赤道儀を使って星を追尾しながら撮影する
赤道儀にカメラを取り付け、星の動きに合わせてカメラを動かして撮影する方法です。星空撮影のやり方としては最もポピュラーですが、カメラの他に赤道儀も用意しなくてはならず、赤道儀の使い方にも若干慣れが必要です。特に極軸合わせは少々ハードルが高いかもしれません。
2.高感度と15~20秒前後の短時間露光
星は1時間に15°ほど動いていますので、星を長時間露光で撮ると、移動した星が線状に写ります。これを防止するにはシャッター速度を15~20秒程に設定しなくてはいけません。しかし、このシャッター速度で星の光を取り込むには明るいレンズを使い、絞りを開け、ISO感度を相当に上げる必要があります。よって高感度ノイズ耐性の高いカメラが必要になります。また、明るいレンズは高価なので、その意味でも若干ハードルが高いといえるでしょう。
星を線状に写す
- 超長時間露光を使って撮影する。
- 通常の長時間露光 + 比較明コンポジット合成で撮影する。
1.超長時間露光を使って撮影する
特別な機材は必要なく、通常の夜景撮影と同じ装備で撮影可能です。露光時間は最低でも30分、長い時は1時間以上になるため、街中や周辺に光源のある場所ではこの方法は使えません。明るくなりすぎて画面が真っ白になってしまいます。また、真っ暗な場所で撮影していたとしても、たまたま通った自動車のヘッドライトや通行人の持っていた懐中電灯の光なども影響してしまうので、ハードルの高い撮影方法と言えるでしょう。
2.通常の長時間露光 + 比較明コンポジット合成で撮影する
今回紹介する方法です。通常の夜景と同じくらいの写真(露光時間15~30秒ほど)を複数枚撮り、比較明コンポジット合成で仕上げます。30秒の写真を100枚合成すれば50分露光と同じ仕上がりになります。この方法の最大のメリットは街中でも星さえ見えれば撮影できることです。
メリットは?
通常の長時間露光 + 比較明コンポジット合成(以下コンポジット撮影)の最大のメリットは街中でも撮影できることです。もちろん街中では見える星の数が少ないので星空写真としての迫力には欠けますが、夜景と星を同時に写しこめるデジタルならではの方法です。