ケースその4・夜桜写真
撮影時設定そのまま
改善点と方向性
4月にしては撮影条件は良く、比較的クリアに写っています。が、街灯の影響で桜が緑味を帯びています。実際桜の花びらはピンクではなく、白に近い色ですが、ここではあえてピンクを強調します。 しかし、夜空の雰囲気は壊さないように青みは極力排除しない方向で仕上げてみます。
処理内容
- マゼンタ(赤紫)を強調し、桜の色を鮮やかにする。
- コントラストと黒レベルを上げ、全体を引き締める。
- 適度にシャープネスをかけ仕上げる。
ケース1同様、色を調整するだけで仕上がりがかなり変わる作例を使ってみます。撮影時の条件さえ良ければ補正は最低限で済みます。
1.マゼンタ(赤紫)を強調し、桜の色を鮮やかにする。
桜の花びらはピンクというより白に近い薄ピンクです。ですが、ここではピンクを強調した仕上げにしてみます。この場合、ホワイトバランス(色温度)は赤めに設定すると思いがちですが、桜の色は色偏差で表現し、ホワイトバランスは夜空を美しく表現するため青めに設定します。 今回は撮影時のホワイトバランスが4254Kだったのでそのままの数値を使います。もう少し夜空を強調したければ4000~4100Kくらいにしても結構です。色偏差は撮影時の時点で+19とかなりマゼンタ寄りになっていますが、それでも完成した画は緑がかっています。
- ①のボタンを押し、ホワイトバランス設定に切り替える。
- ②の色偏差スライドバーを右へ。+19から+35に変更。
本来、ここまでマゼンタを強くすると全体が紫色になって色彩が崩壊しかねませんが、今回はたまたま照明が緑要素の強いもの「単体」であったため補正が上手くいきました。ミックス光(さまざまな光源が構図内に存在する場合)や昼間ではここまで極端な色補正は破綻する場合が多いです。
調整後(調整後画像クリックで拡大)
⇒2.コントラストと黒レベルを上げ、全体を引き締める。
夜景に於いてコントラストと黒レベルを調整して画を引き締めるのはよく使う手法ですが、今回の被写体は夜桜なのでそれほど気にする必要なありません。コントラストも黒レベルもお好みでかけていただければ結構です。
- ①のボタンを押し、調子設定に切り替える。
- ②のコントラストスライドバーを右へ。1.50から1.65に変更。
- ③の黒レベルスライドバーを右へ。0から10に変更。
調整後(調整後画像クリックで拡大)
⇒3.適度にシャープネスをかけ仕上げる。
最後の仕上げにシャープネスをかけ、画像を引き締めます。コントラスト同様今回はそれほど重要な要素ではないので程ほどに。また、RAW現像作業中は画像を100%(等倍)表示せずにモニター内に収まるサイズで作業していると思いますが、シャープネスをかける時は必ず100%表示にして効果を確かめながら行ってください。
- ①のボタンを押し、シャープネス設定に切り替える。
- ②のシャープネスバーを右へ。13から15に変更。
完成
今回はほとんど色のみの編集になりました。ホワイトバランスの項でも書きましたが、今回ここまで極端なマゼンタ補正が効いたのは照明の質によるものです。街灯によく使われている水銀灯は肉眼では白色に見えるものの、実際は緑の要素が非常に強く、撮影すると景色全体が緑がかった写りになります。 撮影場所にはこの照明しかなく、緑の補色(対になる色)のマゼンタを強くかけることでバランスを取ることができました。同じ白色光でも太陽光や蛍光灯が構図内にあればここまで極端な補正は難しかったでしょう。(写真を900×600に拡大)