ケースその5・イルミネーション写真
撮影時設定そのまま
12月に撮影したイルミネーションです。冬の晴天という好条件で撮影しているので写真そのものの質は悪くありません。白熱電球や電球色LEDといったオレンジ系のイルミネーションをカメラ任せで撮影すると、今回の作例のように暖かい光は強く補正されてしまう傾向があります。(写真を900×600に拡大)
改善点と方向性
撮影条件が良く、三脚を使用してじっくり撮影しているのでこのままでもそれ程問題はありませんが、暖かい電球色(電球色LED)の暖かみが補正されてしまい、やや冷たい感じになっています。 よってここでは電球色の暖かいイルミネーションの雰囲気を再現します。
処理内容
- マゼンタ(赤紫)側に色を寄せ、暖かみをだす。
- 黒レベルを上げ、全体を引き締める。
ケース1や4と同様、色を調整するだけで仕上がりがかなり変わる作例を使ってみます。撮影時の条件さえ良ければ補正は最低限で済みます。
1.赤みを強調しつつ、マゼンタ(赤紫)側に色を寄せ、暖かみをだす。
青色LEDの急速な普及もあって、最近のイルミネーションは青を基調とした寒色系の装飾が多いように思います。しかし、真冬の寒さの中ではやはり暖かい光を見てみたいものです。 よって今回のRAW現像では赤を基調とした暖色のイルミネーションを再現します。
- ①のボタンを押し、ホワイトバランス設定に切り替える。
- ②の色温度スライドバーを右へ。3319Kから5000Kに変更。
- ③の色偏差スライドバーを右へ。+14から+30に変更。
色に暖かみを出すには赤やオレンジといった暖色系の色を強調し、青などの寒色系の色を目立たせないのが基本です。よって色温度の調整によって赤みを強めつつ、色偏差でマゼンタを強め、緑を弱めます。ケース4同様ここまでマゼンタを強調した仕上げは色のバランスを破綻させる恐れがあるので、通常の夜景ではあまり使用することはありません。
調整後(調整後画像クリックで拡大)
⇒2.コントラストと黒レベルを上げ、全体を引き締める。
夜景写真でコントラストと黒レベルを調整して画を引き締めるのはよく使う手法ですが、今回の被写体はイルミネーションなのでそれほど気にする必要なありません。コントラストも黒レベルもお好みでかけていただければ結構です。
- ①のボタンを押し、調子設定に切り替える。
- ②のコントラストスライドバーを右へ。1.50から1.65に変更。
- ③の黒レベルスライドバーを右へ。0から10に変更。
完成
今回はほとんど色のみの編集になりました。夜景をRAW現像する際にはほぼ必ず最後にシャープネスをかけるのですが、今回はもともとの画がシャープに撮れており、手を加える必要なしとしてシャープネスはかけていません。 もう少しカリッとした仕上がりにしたい場合はシャープネスをかけてみても良いでしょう。しかし、夜桜やイルミネーションといった被写体は撮影時にしっかり撮れていれば後処理でシャープネスを駆ける必要性は少ないでしょう。(写真を900×600に拡大)