比較明コンポジット合成とは
はじめに
比較明コンポジット合成とは、複数の画像の画素ごとの明度(明るさ)を比較し、高明度の方の画素に置き換えて1枚の画像にする処理のことをいいます。と言っても、訳が分かりませんね。次項から詳しく解説していきます。
比較明コンポジット合成の概要
下のように縦3画素、横3画素の9画素の画像A、Bがあるとします。枠内の数字は明度で、数字が大きいほど明るい画素です。 この2枚の画像を比較明コンポジット合成をすると画像Cになります。
画像A | ||
---|---|---|
20 | 18 | 29 |
16 | 25 | 06 |
02 | 25 | 09 |
画像B | ||
---|---|---|
19 | 31 | 21 |
21 | 10 | 30 |
24 | 07 | 14 |
画像C | ||
---|---|---|
20 | 31 | 29 |
21 | 25 | 30 |
24 | 25 | 14 |
左上の画素は画像Aの明度が20で画像Bの明度が19ですので、画像Cには画像Aの画素が採用され、画像Bの画素は採用されません。その隣の画素は画像Aの明度が18で画像Bの明度が31なので、画像Cには画像Bの画素が採用されます。 こうして全部の画素の明度を比較し、明るい方に置き換え一枚の画像にするのが比較明コンポジット合成です。
画像A | ||
---|---|---|
20 | 18 | 29 |
16 | 25 | 06 |
02 | 25 | 09 |
画像B | ||
---|---|---|
19 | 31 | 21 |
21 | 10 | 30 |
24 | 07 | 14 |
画像C | ||
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20 | 31 | 29 |
21 | 25 | 30 |
24 | 25 | 14 |
数字だけではわかりにくいので、各画素に色をつけてみました。比較明コンポジット合成のイメージができましたでしょうか? 左上の画素を例にすると、合成後の画素の明度は20+19=39ではなく、20になることが最大のポイントです。
コンポジット撮影をやってみよう
上の写真はシャッター速度20秒、F8.0、ISO感度200で撮影したものです。空気の状態はよかったのでクリアに写っていますが、街中と言うこともあり星はほとんど写っていません。この写真を同じ設定で10枚連続撮影します。つまり、20秒露光の写真を10枚、計200秒(3分20秒)分用意する事になります。それを比較明コンポジット合成をすると下のような仕上がりになります。
マンション群は明度が変化しないので合成前と合成後で差は発生しません。星は動いた部分のみが線状になっているのがおわかり頂けるでしょうか。 比較明コンポジット合成では明度の低い画素を明度が高い画素に置き換えていくため、星の軌跡に沿って夜空(暗い)から星明り(明るい)に置き換えられていきます。 この「星空は置き換えられるけど景色は置き換えられない」というのがポイントで、この特性によって超長時間露光でしか実現できない星の軌跡を捉えつつ、超長時間露光では撮れない街灯りを一枚の写真に収めることができます。まさにデジタルならではの手法と言えるでしょう。
次頁から撮影方法やコンポジット合成のやり方を具体的に解説していきます。